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2023年8月10日 (木)

【コレクション】前輪小径ファニーバイク LOOK PP65ペダル紹介

現在展示中の前輪小径ファニーバイク。

各部紹介の2回目はペダルです。

このペダルは、スポーツ自転車の歴史を変えた製品と言っても過言ではないと思います。

LOOK PP65

2023080701

現在われわれが使っているビンディングペダルの最初の製品です。

もともとスキーのビンディングをつくるメーカーだったフランスのLOOKが1984年に開発しました。

ベテランスキーヤーの方は、LOOKのスキー用ビンディングをご記憶かもしれません。

いまのLOOK社は自転車専業です。

1985年にベルナール・イノーがこのペダルを使って自身5度目のツール・ド・フランス総合優勝を成し遂げて、このペダルが一気に注目されました。

それまでのペダルには、トークリップとストラップがついていて、レーサーシューズのソールにはシュープレートがつけられていました。

競輪選手が使っているアレです。

シュープレートには溝が切ってあり、ペダルの枠(ワク)にガッチリはまるようになっていて、その上からストラップで固定すると、足を引っ張ってもひねってもペダルから外すことはほぼムリでした。

足をつく前には手を伸ばしてストラップを緩めないとペダルから足は離れませんでした。

なので、急停止しなければいけないとき、ストラップを緩める余裕がなく立ちゴケするなんてことは「ロードレーサーあるある」でした。

発進のときは、トークリップに足を入れ、シュープレートをペダルにはめて、ストラップに手を伸ばして締める。

停止のときは、ストラップに手を伸ばして緩める。

いまから考えたらメチャクチャ面倒です。

でも毎回それをやってました。

とっさに足が外れないので危険でもあります。

ベテランライダーのなかには、信号待ちのときなどに、いまでも電柱やガードレールにつかまって足をつかないひとがいるのは、この時代のクセが身についているからだと思います。

2023080702

クリート固定のバネ強さを調整できるなど、いまのビンディングペダルの機構はこの最初の製品からほぼ完成されていました。

ペダル後方に厚みがあったため、ペダルクリアランスが少なく、コーナリング時に足を回してしまうと、ペダルを地面によくこすりました。

2023080703

クリートは、いまのKEOクリートの前のDELTAクリートです。

軸の回転などは問題なさそうですので、いまでもDELTAクリートをシューズにつければ使えそうです。

ペダル本体はアルミ製ですが、構造が旧式なためか(?)重量があるので、ペダリングすると重さを感じそうですが。

DELTAクリートは当店でまだ販売しています。

DELTAクリート装着用の3つ穴は、いまのロード用シューズの3つ穴と同じです。

PP65登場以降、いくつかのクリート装着規格が生まれましたが、結果的に最初の3つ穴にほぼ落ち着きました。

シンプルで確実にクリートを固定できる3つ穴を最初に考えついたLOOKは先見の明があったのでしょうね。

このペダルが初のビンディングペダルでしたので、当初はビンディングペダル用のシューズは出回っておらず、シュープレート用のレーサーシューズにドリルで穴を開け、フレアナットを埋め込んで使っていました。

シューズにつけるナットもペダルに付属していたのだと思います。

個人的には1986年ごろに日本に入ってきたばかりのこのPP65を購入し使いはじめました。

のちにもう1セット購入し、2ペア体制で運用していました。

いまはこの1セットしか残っておらず、最初に買ったものか、あとから買ったものかはわかりません。

このペダルが出た当初は、「ビンディングペダル」という呼び方のほかに、「クリップレスペダル」「オートマチックペダル」「セーフティペダル」などとも呼ばれていました。

トークリップがついていないから「クリップレスペダル」、手を伸ばしてストラップを締めたり緩めたりしなくてもいいので「オートマチックペダル」、とっさのときにも足をひねれば外れて安全だから「セーフティペダル」。

そんな感じです。

ビンディングペダルが普及してからスポーツ自転車に乗りはじめたひとたちにとっては、「ビンディングペダル=足がはまって怖い」というイメージがあるのではないでしょうか。

しかし、トークリップ、ストラップ、シュープレートを使っていた世代にとっては、「ビンディングペダル=足をひねれば外れるから安全」という画期的な製品だったのです。

※記憶をもとに書いていますので、事実と異なる内容が含まれている可能性があります。ご了承ください。

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